学会について

 四万十川及び全国の流域圏を対象に、総合的・学際的調査研究と学民産官連携による実践的な取り組みを展開する「四万十・流域圏学会」(Japan Society of Shimanto Policy and Integrated River Basin Management)が平成13年2月8日に設立されました。


学会の基本理念

1)横断的・学際的な研究、現場に根ざした実践的な研究、住民と連携した取り組み(学民産官連携活動)を重視する。

2)地域の学問から全国の横断的な流域圏のネットワークづくりと世界(国際交流・国際協力)へ向けての情報発信を行い、実際問題への適用をはかるために、学・官・民の研究者・技術者・地球市民との交流を促進する。

3)次世代への展開(サスティナブル・シマント)と次世代をになう人材(若手を含む)の育成を重視する。


四万十・流域圏学会設立趣意書

 日本の河川は水系の自然環境と地域の気候条件によって、固有の地形を形成し、そこに産業、芸術、歴史、民俗、生活、言語などの文化を育んできた。いわゆる流域圏と呼ばれる所以である。日本の多くの流域圏が、水資源の開発をはじめとする地域開発により、林業の衰退、過疎化等の社会現象を引き起こし流域圏で形成されてきた貴重な文化までもが忘れられようとしている。そうしたなかで、最後の清流と言われる四万十川はかろうじて自然の流域圏を維持してきた。しかし、今日では、人口の老齢化、過疎化をはじめ森林の荒廃に伴う流況の変化や、水質の悪化など負の現象が次第に進みつつある。この現象を望ましい正の方向に早急に転換していかなければならない。それには地域住民及び産、官、学の一体的な取り組みが求められる。すでに四万十川では、四万十川対策室の設置をはじめ、流域保全のためのプランが策定され、多自然型工法、木の香る道づくりなどが実施されているが、なお多くの課題が残されている。

 このように流域圏を望ましい方向に保全し、活性化を図るためには多面的な学術の推進と、その流域に生活する人々の参加による積極的な取り組みを必要としている。アカデミックな既存の学術にとどまらず、新たな学際領域の開発も求められ、さらに地域の人々の参加による実証もまた重要である。このことは地域の将来を担うジュニアの環境教育の重要性が強調されているように幅広い世代の参加が求められている。
流域圏の課題は四万十川に限らず、日本の全ての流域圏に共通する課題でもある。同時に日本の風土に起こる課題は地球規模での視点で取り組む必要があり、国際的な情報の交換と技術開発が求められる。

 こうした諸般の事情により、ここに四万十川をモデルとする流域圏学会の設立を計画した。この学会は既成概念にとらわれず、学術の情報発信の場であると同時に流域圏の全ての人々が参加する実証の場を形成したいと考えている。期待される情報は日本の全ての流域圏はもとより、国際的にも発信していきたいと念願している。
流域圏に関わる多くの研究者、行政の担当者、教育の担当者、関心をもつ一般住民の方々の参加を発起人一同、切望する次第である。

 そこで、本学会は、次世代に橋渡しをする自然重視の学際的な地域文化づくりを横断的に推進するために、山・川・海と地域社会をつなぐ水系を基盤とした流域圏の研究組織の創設を企画する。国内における関連学・協会はもとより、国際的な学・協会、研究機関、NGO/NPOとの連携をはかり、国際的な研究交流と協力においても21世紀に先駆けて先駆的な役割を果たす。よって会員は、地域住民及び産、官、学の連携研究の芽を伸ばしていくことと、次世代への展開を期するために、研究者のみならず、官界、民間の技術者、市民の科学者、学生にも広く参加・協力を求め、現場からの研究課題の発掘とすみやかな研究成果の社会還元が可能となるような組織・体制作りをめざす。

 以上の趣旨に基づき、本学会は、
1 横断的・学際的な研究、現場に根ざした実践的な研究、住民と連 携した取り組み(学民産官連携活動)を重視する。
2 地域の学問から全国の横断的な流域圏のネットワークづくりと世 界(国際交流・国際協力)へ向けての情報発信を行い、実際問題へ の適用をはかるために、学・官・民の研究者・技術者・地球市民と の交流を促進する。
3 次世代への展開(サステイナブル・シマント)と次世代をになう 人材(若手を含む)の育成を重視する。を三つの柱として、流域圏学研究の発展を期する。

 具体的には次のような活動を予定している。
1 学術講演会・研究会・セミナー・フォーラム・シンポジウム・現地見学会などの開催
2 四万十・流域圏学会誌(仮称)と電子・ニューズレターの発行(年2 回の発行予定)。
3 流域圏に関連する国内外の研究活動、会議、住民(NGO)プロジェクト等に関する情報の収集と伝達。
4 四万十川流域と他流域との交流と住民団体・研究者など多様な主 体の(国際交流・国際協力を視野に入れる)交流や協力を通じたネットワークづくり。

(平成13年 2 月 8日 )


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