研究業績

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 篠森 敬三 (教授)  大学の研究業績ページ  あるいは Researchmap あるいは 科研費助成事業データベース

< 最近の研究業績 >

研究室紹介の所で記載しましたように,研究室代表者が開発した手法である「色を意味語で評価する従来のセマンティック・ディファレンシャル法による印象評価に加えて,意味語を色で評価する印象語の色評価を行うことによって,色と印象の関係性を両方向から計測する双方向性検証」を行って,「双方向で矛盾なく関係が構築されている意味語と,双方向で関係が大きく異なる意味語とに分離する階層性」を調べる『双方向性検証手法による色と意味語との階層性の研究』についての論文が以下にあります.
Keizo Shinomori, and Honami Komatsu, “Semantic word impressions expressed by hue,” Journal of the Optical Society of America, A, vol. 35 (4), pp.B55-B65, 2018. DOI : 10.1364/JOSAA.35.000B55(オープンアクセス論文)

この双方向性検証手法を2色覚者の方にあてはめて応答を調べたのが以下の論文です.2色覚の方の応答について長年の疑問を明らかにすることができました.
Keizo Shinomori, Honami Komatsu, and Ippei Negishi, “Bi-directional relationships between semantic words and hues in color vision normal and deuteranopic observers,” Journal of the Optical Society of America, A, vol. 37 (4), pp.A181-A201, 2020. DOI : https://doi.org/10.1364/JOSAA.382518(オープンアクセス論文)

原論文は英語の長編ですが,以下の大学のNewsページの内容が日本語で簡潔にまとまっていますので参考になります.
大学のNewsページ:篠森教授らの研究グループは2色覚者(色覚異常者)がもつ色の印象が一般色覚者と同じであることを解明しました.
あるいはプレスリリースのPDF

本成果は,新聞社やネットニュースで取り上げて頂きました.あらためて感謝申し上げます.
産経新聞Web:「色にもユニバーサルデザインを」色覚専門家が提言(2020/4/14)
毎日新聞医療プレミア:色覚異常の人も「印象」は一般と同じ(後半有料ページ)(2020/5/2)
CareNet:色覚の異常がある人も色から受ける印象は一般色覚者と同じ(2020/5/5)
毎日新聞Web:「清廉な」は何色? 色覚障害者はどのように「印象」を学ぶのか 高知工科大が研究(後半有料ページ)

さらに複雑な刺激(2色覚者模擬の色刺激)を用いた実験の成果も2023年1月に出版されました.


< 最近の研究業績 2>

本研究は,金沢工業大学 情報フロンティア学部 メディア情報学科の根岸講師との共同で実施し,心理物理学的研究から示唆されていた視覚シーンの色による輝度コントラスト知覚への影響について,fMRIによる脳画像解析においても輝度情報に対する色情報の影響の証拠を発見したものです。
 無彩色パターンの背景上に提示された色パッチの彩度に対する視覚野脳活動の依存性を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によって測定した結果,色パッチが輝度情報による脳活動を抑制すること,加えて彩度の低い色パッチの方が,高彩度の色パッチよりもより強い抑制が生じることを示しました。一方,色パッチの代わりに灰色パッチが提示された場合には抑制が見られず,また被験者が均一黒背景上で色パッチのみを観察する時の脳活動計測から,色パッチだけでは異なる彩度間での脳活動に違いがないことを確認しています。抑制効果は初期視覚野(V2およびV3),腹側経路(hV4)および背側経路(V3A / B)で観察され,色情報がV1の輝度情報に影響を与えていることが明らかとなりました。さらに空間的輝度サイン波変調格子(グレーティング)上の輝度コントラストを弁別する能力を計測する心理物理学的実験を実施した結果も,同様に低彩度の色パッチが格子に付けられた場合,高彩度の色パッチまたは無彩色パッチが付けられた場合よりも,弁別能力が悪化しました。以上から,fMRIによる脳計測と心理物理学的実験の両方の結果とも,高彩度よりも低彩度の色条件で,色情報の輝度情報に対する抑制がより強くなる点で一致しました。
 これは従来から直観的に理解されていた淡い色の写真では境界がぼやける(輝度のコントラストが弱い)現象を世界で初めて脳計測結果として示したものです。この効果により「色の強さ」と「輝度が作る境界の強さ」のバランスを取っていると考えられ,この現象のメカニズムについても推定されます。
Ippei Negishi, and Keizo Shinomori, "Suppression of Luminance Contrast Sensitivity by Weak Color Presentation," Frontiers in Neuroscience, vol.15,No.668116,pp.1-15, 221. DOI: 10.3389/fnins.2021.668116(オープンアクセス論文)

原論文は英語の長編ですが,以下の大学のNewsページの内容が日本語で簡潔にまとまっていますので参考になります.
大学のNewsページ:篠森教授らの研究グループは2色覚者(色覚異常者)がもつ色の印象が一般色覚者と同じであることを解明しました.
あるいはプレスリリースのPDF