2015年度 修士論文

横田 優佳

ウェーブレット係数の分布による異常呼吸音の特徴検出

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医療機器のデジタル化に伴い,聴診音の録音,伝送が可能な電子聴診器が訪問看護の現場で利用されている.録音した聴診音の伝送ができるため,病院にいる医師に聴診音の診断をしてもらうことができる.しかし,各訪問看護の現場で録音した聴診音の全てを病院の医師が診断すると大きく時間がかかる.そのため,患者に診断結果を返すまでにさらに時間がかかる.聴診音の中でも特に呼吸音に異常がある場合は生命に関わる病気の可能性が高い.そのため,異常呼吸音の有無の診断は重要であり,患者に診断結果を返すまでに時間がかかることは即時性が求められる聴診において問題となる.この問題に対して,訪問看護の現場で異常呼吸音の可能性を異常呼吸音自動検出システムを用いて検出することで,診断までの時間を短縮できる.そこで本研究では,異常呼吸音自動検出システムに用いるための特徴検出をウェーブレット変換を用いて行う.肺胞呼吸音と各異常呼吸音に対してウェーブレット変換を適用し,得られたウェーブレット係数を比較することで異常呼吸音を検出している.聴診トレーニング用サンプルに対して特徴検出を行った結果,異常呼吸音の特徴を検出できることを確認している.また,実際に訪問看護師が録音した聴診音に対して特徴検出を行った結果,聴診トレーニング用サンプルと同様に異常呼吸音の特徴を検出できることを確認している.これらの結果から,ウェーブレット変換を用いた異常呼吸音の特徴検出によって,正常呼吸音と異常呼吸音の判別が可能といえる.

2015年度 学士論文

内田 啓太

ウェーブレット変換を用いた異常呼吸音の特徴表現

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訪問看護において聴診を行う際,看護師により録音された聴診音が病院にいる医師へ送信され,診断が行われる.しかし,病院の医師のもとには各訪問看護の現場より多数の聴診音が集まるため,全ての音源の診断に多大な時間がかかる.聴診音に異常呼吸音が含まれる患者は早急な治療を必要とする可能性が高いため,聴診時に異常呼吸音を自動検出するシステムが期待されている.本研究では,異常呼吸音を自動検出するシステムへの利用を目的とした,ウェーブレット変換を用いた異常呼吸音の特徴表現手法を提案している.本手法は呼吸音にウェーブレット変換を行い,得られたウェーブレット係数を,横軸に時間,縦軸に周波数,色にウェーブレット係数の値を表す 3 次元グラフに表示している.この手法により,呼吸音の音圧レベルに影響されず異常呼吸音の特徴が表現できることを確認している.

鈴木 祐希

赤外線測距センサーを用いた通過の検知

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災害発生に伴い,救助活動に必要な情報が不足するケースが複数報告されている.その一例として,東日本大震災では多数の救助員を動員し,総当たり的に救助活動を行っている.そのことから要救助者の位置情報と人数が分かれば,効率的な救助活動が可能になると考えられる.そこで,平常時から部屋ごとの在室人数を把握することで,災害時に要救助者の位置情報と人数を利用しようとする試みがある.既存の代表的な人数把握方法としてビデオカメラと入退室管理システムとがある.しかし,いずれもプライバシーの問題や IC カードの所持が必要といった理由から広く普及には及んでいない.そこで,本研究では赤外線測距センサーにより,部屋の入り口で人の通過を検知し入退室数をカウントすることで在室人数把握を行う.本研究の実験として,2 つのセンサーから人の通過検知の時間差から入退室方向を判別しカウントを行っている.この方法では,人の通過検知により在室人数把握を行うため,個人の識別を行わず,IC カードも必要ない.人が部屋の入り口を通過する状況として,いくつかの通過パターンを想定してデータ取得を行っている.そのデータに対して通過検知を行った結果,歩行する人の入退室の判別ができていることを確認している.しかしながら,荷物を持った人の通過データに対して,誤検知することがわかった.対策としてデータに平滑化処理を行うことで,正しく検知できていることを確認している.また,荷物を運ぶ人が隙間なく連続で通過した場合,平滑化処理を用いても通過検知が正しい結果が得られなかった.さらに,通過せず途中で通行人が引き返した場合に誤検知することがわかった.この問題に対し通過方向の判別方法を 改善することで,問題なく検知できたことを確認している.

2015年度プロジェクト研究

那須 裕太

災害時医療拠点における被災者名簿作成データベース

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災害発生時,自治体であらかじめ指定された病院に医療拠点が開設される.開設される病院は,災害による被害が軽く,病院への導線が確保されているなどの条件を満たしている必要がある.医療拠点では被災者の一時避難や応急手当などが目的となり,被災者への医療活動を行うため医師や看護師などが派遣される.医療拠点が開設される病院は住民にも公開されており,病院へいけば何とかなるのではと考えた被災者が大勢詰め掛けることが予想される.そのため医療拠点では大勢の被災者に対して効率的で素早い対応や医療活動が求められる.被災者への対応の際,被災者名簿の作成が必要となる.被災者名簿には被災者情報や施した対応情報などが記載されており,安否確認や医療拠点の状況把握のための資料となる.しかし,災害時では電気が使えない,PC が使えない等の理由から,現状では紙媒体で名簿を作成せざるを得ない.名簿を紙媒体で作成すると,医療拠点内の被災者受付と被災者への対応を行うエリア間の距離が離れているため被災者情報の共有ができない.そのため受付で記入した被災者情報を対応エリアで再び記入する必要があったり,対応エリアごとに個別に名簿を作成しなければならないことが名簿作成時の負担となり,被災者への対応に時間がかかってしまうことが問題となる.本研究では,医療拠点における被災者名簿作成データベースシステムの検討を行い,被災者名簿作成データベースを構築し,名簿作成の支援を行っている.これにより,医療拠点の名簿を一元化し,各エリアで情報を参照可能にすることで,名簿作成時の負担を軽減でき,被災者への対応速度の向上が期待できる.

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