2017年度 学士論文
災害時,バックアップした医療データを外部の医療従事者に瞬時に提供できれば,被災地での医療行為を円滑に行うことができる.よって,バックアップした医療データから医療行為に必要な情報のみを提供できる仕組みがあればよい.そこで,部分復元可能な秘密分散システムが提案された[1].提案されたシステムは,意味のある項目ごとにデータを分割し,分割したデータを分散している.しかし,提案されたシステムは演算量が大きく,復元速度が遅いため,緊急的に医療情報を必要とする災害時には適していない.本研究では,災害時に適した速度で,部分復元できるように,データを一定のサイズごとに分割する方法を提案し,部分復元可能な秘密分散システムの分割サイズによる復元速度の評価を行う.
災害時に被災地域外からきた医師に対して,バックアップした医療データを提供することができれば,円滑に治療が行える.しかし,医療データは個人情報であるため治療に必要な情報のみを提供できればよい.そこで,部分復元可能な秘密分散法アルゴリズムが提案された[1].災害時にバックアップしたデータを利用するには,患者のデータを検索しなければならない.しかし,部分復元可能な秘密分散を行ったデータを検索する仕組みは考えられておらず,検索するには,名前部分などを部分的に復元しなければならない.しかし,部分復元には時間がかかってしまい,素早く検索をすることができない.本研究では,部分復元可能な秘密分散法を行った医療データに検索用のシェアを付与し検索を行える仕組みを提案する.そのため,付与する情報の設定を行った.また,検索を素早く行うために付与する情報サイズの削減を行った.
災害発生時,自治体に予め定められた病院の外には被災者の一時避難や応急手当等を目的とした災害救護活動拠点が開設される.災害救護活動拠点では被災者の安否確認や拠点内の状況把握のために,被災者名簿が作成される.被災者への迅速な対応のために,被災者名簿を電子化し,作成時の手間を減らすためのシステムが提案されている.このシステムは電子機器を使用して名簿作成を行うため扱いに慣れが必要である.このシステムを使った訓練を平常時から行える研究があるが運用されていない.本研究では,情報共有の工程を紙媒体と電子媒体の実行方法で比較し,災害救護活動拠点に合った情報共有の仕組みを提案する.