LearningAnalytics
はじめに
LearningAnalyticsとは、教育に関係するデータの収集や分析をすることで、より良い教育や学習を実現するために行われています。 従来では、経験によってどのような教育が良いか判断していたと思いますが、LearningAnalyticsによって、根拠を持った学習を行えるようになります。 妻鳥研究室では、STELLAとMLRと呼ばれるシステムで、LearningAnalyticsの研究をしています。
用語説明
- eラーニング インターネット上で行われる学習で、オンライン授業のようなものから、携帯を使って学べるアプリのようなものまでがeラーニングです。
- デジタル教科書 デジタル教科書とは、普段使っているような教科書をコンピュータ上で見えるようにデジタル化した教科書で、音声読み上げ、検索、教科書への書き込みが容易になります。
- LearningManagementSystem(LMS) LMSとは、学習教材(デジタル教科書や授業動画など)や成績を管理するシステムです。本大学では、moodleと呼ばれるLMSが使われています。
- メンタ ここで記述しているメンタとは、教員やTA(Teaching Assistant)のことで、TAとは、修士の先輩が授業のお手伝いをする制度のことです。
- メンタリング メンタリングとは、メンタが学習者に学習のための指導をすることです。
- xAPI(Experience API)とLRS(Learning Record Stroe) xAPIとは、データの収集・記録における国際標準規格であり、統一の書き方を定め、学習履歴をLRSと呼ばれる専用のデータベースに蓄積していくことです。 これによって、蓄積後分析に回すときに容易に分析することができます。
Learning Analyticsの背景
教育現場でのICT化によって、eラーニングの提供の仕方がCDやDVDからオンラインでの講座に移り変わり、オンラインの講義を管理するのにlmsが使われるようになりました。 lmsが普及したことによって、インターネット上に学習履歴が残り、その学習履歴から、根拠を持った学習・教育の改善をすることを目的としてLearningAnalyticsと呼ばれ る研究分野ができました。
Learning Analyticsの実例
妻鳥研究室では、moodle上で稼働するSTELLAとMLRと呼ばれるWebシステムを開発し、それを用いて、LearningAnalyticsの研究を行っています。これらのシステムによって、 学習履歴はもちろんメンタリング履歴も含めて収集することができ、それらを分析し、教育をより良くしていこうとしてます。

- STELLA STELLAとは、Storing and Treating the Experience of Learning for Learning Analyticsの略称で、主に3つの機能を持っています。
- デジタル教科書としての機能 教師側は、PDF形式の資料を乗せることができ、生徒側はその資料に付箋機能、書き込み機能、教師の書き込みを共有する機能や語句の検索機能がついています。
- 学習履歴をxAPI形式でLRSに送信する機能 デジタル教科書として用いた学習履歴をデータベースにxAPI形式で送ることができます。送れる学習履歴としては、何時にだれがログイン・ログアウトしたか、どの資料にアクセスしたか、 その資料のページ遷移した時間とページ毎の閲覧時間、書き込み履歴です。これらをLRSに送ることで、分析に持っていくことができます。
- リアルタイムでフィードバックする機能 デジタル教科書として使っている時に、ページ毎の閲覧者数と教師が開いているページを可視化することができます。それによって、授業中に、他の生徒がどこのページを見ているか、 先生がどのページを開いているかを知ることができます。
- MLR MLRは、Mentoring Log Recorder の略称で、主に2つの機能を持っています。
- 学習者の学習状況をメンタ間で共有する機能 メンタ間で、生徒からもらった質問内容と答えたこと、生徒に与えた助言をメンタ内で共有することができます。また、授業の間に出された 課題の評価や点数も記述したり、共有したりすることができます。
- メンタリング履歴の蓄積 上記の内容をMRSと呼ばれるデータベースに蓄積し、分析することができます。