2005年度 修士論文
2005年度 学士論文
カメラで撮影をした画像の問題として,撮影した際の手ぶれ画像や,ピンぼけ画像などの焦点ずれ画像などの画像劣化がある.劣化画像の復元方法については,これまでにさまざまな復元方法についての研究がされている[1].本研究ではこれまでに研究された劣化画像復元方法の中から最小2乗フィルタを使用し,焦点ずれの画像(ぶれ画像)における復元方法の有効性を検証する.
近年,ディジタル信号処理の進歩により音でバーチャルリアリティを表現する試みが各方面で行われている.音響の分野では再生空間で原音場の再現をする試みがある.一方,半導体プロセス技術の進歩によりDSPは高速演算が可能になった今,リアルタイム処理が要求される分野では,DSPを用いた研究や開発が数多くされている.本論文では浜崎らが提案した多入力信号補正システムをDSPに実装し実空間上での実用性を考察する.
原音場の特性を再生音場において再現するためには,室内の反響などの影響を考慮しなければならない.その再現方法として,多チャネル-多点制御系が有効とされている.しかし,この手法はスピーカの増加により制御系が複雑になったり,残響時間が長い空間では演算量が増加してしまうなどの問題があるため実用化には至っていない.この問題に対して,多入力信号補正システムが提案された\cite{hama}.この提案手法では,制御した点(制御点)のみの補正を考慮しており,制御点近傍の点に対しての補正は考慮されていない.本論文では,多入力信号補正システムにおける制御点を増やすことで,制御点近傍に対しての補正を考慮したシステムを提案する.
近年,動画や音楽ファイルといったディジタルコンテンツのやり取りが,誰でも手軽にできるようになってきた.そして現在,問題となっているのが,ディジタルコンテンツの違法コピーなどによる著作権管理の問題である.この問題から,不特定多数の人々が混在している中で,特定の人々だけに対して情報を提供したい,といった要求がでてきた.本研究では,波同士は重ね合わせることができるという原理を利用して,このような要求に応えることのできる秘匿通信システムを提案する.提案する秘匿通信システムは,秘匿したい情報が波の性質を持っているものであれば,どのような媒体でも原理的には実現可能である.本研究では,音声を用いた秘匿通信システムを提案する.
未知システムの入力信号と出力信号からそのシステムのパラメータを遂次的に推定する適応アルゴリズムは,フィルタ係数を修正することで最適なフィルタの推定を行っている.しかし,入力信号が有色であった場合に収束速度が劣化してしまうという欠点が指摘されている.これに対して少数のデータを1つのブロックとし,そのブロックごとにフィルタ係数の修正を行い,収束速度の高速化を図るブロック直交射影アルゴリズム(BOPアルゴリズム)が提案されているが,雑音の影響を受けてしまうという欠点が存在する.この欠点を補うものとして,共役勾配法を用いたBOPアルゴリズム(CGM-BOPアルゴリズム)において,雑音の大きさから共役勾配法の繰り返し回数を最適化したBCGM-ORアルゴリズムが提案されている[1].このアルゴリズムが雑音の分散を推定し,その推定誤差がBCGM-ORアルゴリズムの収束特性にどの程度影響を及ぼすかを評価する.