2020年度 修士論文
広域災害に備え医療データを保全し,被災地での診療に活用することが求められている.
災害時は,ネットワークや電源などのリソース不足が考えられるため,診療に最低限必要な情報のみを入手できると良い.
医療データの保全に適した方法の1 つとして(k; n) しきい値秘密分散法を用いた分散バックアップがあるが,分散したデータの一部だけを部分的に復元することはできない.
そこで秘密分散したデータの一部分だけを復元する部分復元可能な秘密分散法が提案された.
分散した医療データの検索の仕組みは無く,名前などの患者を識別するための情報を部分的に復元してから検索する方法が考えられる.
復元は方程式を解くための逆行列の作成にかかる計算量が大きく,時間を要することが想定される.
本論文では安全性を落とさず検索にかかる計算量の削減を目的として,識別情報を復元することなくシェアの状態で検索を可能とする方法を提案している.
提案方法の検索時間を計測した結果70 万人分のデータを15 秒以内に検索できることを確認している.
また,提案検索法を用いたシェアの保存方法により第三者がストレージにアクセスしても医療データを不正に復元される恐れはない.
しかし,ある条件下において識別情報が漏洩する場合があり,有限体の法を大きくすれば問題ないが医療データを扱うには十分であるとは言えず対策を講じたシステムを提案している.
提案システムを用いることで識別情報の漏洩を防止可能であり,安全に医療データの検索を行うことができる.
2020年度 学士論文
災害発生時,重傷者が病院で治療を行えるように重傷者以外の被災者の対応を行う災害救護活動拠点が開設される.
拠点では,処置の内容に応じた複数のエリアが存在し,各エリアでは被災者の個人情報や処置の内容を記述する被災者名簿が作成される.
名簿は紙で作成されているため,各エリアで名簿情報の共有ができないため,重複項目があるといった問題がある.
そこで,被災者名簿を電子化し一元管理が行えるよう被災者名簿作成データベースが提案され,入力形式を定めた被災者名簿作成支援システムが提案された.
これにより,正確な形式でデータが登録されるようになったが,そのデータを活用する機能がない.
拠点では,多くの被災者が訪れることが想定されるため感染症の集団感染が危険視される.
感染拡大を抑えるには,感染者と接触した被災者を探し出すことが重要である.
そこで,本論文では,飛沫・接触感染の疑いのある被災者を探し出す機能を追加し,支援システムの拡張を行っている.
感染者の名簿情報を取得する機能,接触者の判定を行う機能や該当した被災者の名簿情報を出力する機能を追加することで,接触者を自動で探し出すことができる.
これにより,感染者の情報の入力で,接触者の一覧を出力することができる.
そのため,接触者を支援システムによって探し出せることができ,負担を軽減することができる.
広域災害に備えて医療データを保全し,被災地での診療に活用することが求められている.
そこで,部分復元可能な秘密分散法が提案された.
しかし,分散した医療データを検索する仕組みはない.
そのため,分散した医療データを素早く検索する方法が提案された.
検索方法は,医療データのシェアに個人を識別する情報を対応付けて保存してあり,ある条件において識別情報が絞られる.
医療データの不正復元には,識別情報を一意に定め,医療データのシェアの組み合わせを知り,しきい値以上のシェアを集める必要があることから識別情報の絞り込みは大した問題ではない.
しかし,個人情報である医療データを扱うため,識別情報の絞り込みが,医療データの不正復元に繋がるようなことがあってはならない.
本論文では,検索方法によって生じた識別情報の絞り込みの防止を目的として,識別情報が絞り込まれる要因となるデータの漏えいを防止する検索システムの構成を提案している.
検索システム構成では,検索・復元を行う端末をリファレンスモニタにすることで医師端末の盗難による漏えいを防止する.
また,ストレージ群とリファレンスモニタに対するアクセスを制限することで制限した端末以外からのアクセスによる漏えいを防止する.
検索システム構成を用いることで安全に医療データの検索方法を使用することができる.
2020年度 プロジェクト研究
災害発生時,予め指定された場所に被災者の一時避難や応急手当等を目的とした災害救護拠点が開設される.
ここでは被災者の安否確認やの状況把握のために,被災者名簿が作成される.
この名簿は紙であるためにエリア間での名簿の共有ができないために,各エリアで個別に名簿を作る必要がある.
記述する内容は重複している箇所も多くあるため名簿作成者にとって必要以上に時間がかかるために負担となっていた.
そこで被災者への迅速な対応と被災者名簿作成時の手間を減らすためのシステムが提案された.
このシステムは現状災害時と大規模な訓練時のみ稼働するシステムであるため,災害時には慣れないシステムを使う事となる.
そのため平時にこのシステムを用いて名簿作成訓練を行うための被災者対応訓練シミュレータが提案された.
しかしこのシミュレータは作業感が強いために,複数回の使用による訓練効果は見込めないという問題があった.
本研究では,繰り返し利用してもらえるように被災者対応訓練シミュレータを改良する.
提案するシミュレータは,本番の流れを体験できる,娯楽性があり繰り返しプレイできる要素があるという2 つの要件を設定し,この要件を満たすための仕組みをシミュレータに導入した.
