2021年度 学士論文
農業現場における持続性確保と生産性向上の両立のため、様々なデータを共有・活用できるデータプラットフォームの提供が公的機関や企業から行われている。
これによりデータやサービスの相互連携や散在する情報の統一が行われることで、農業データ連携基盤を通じた新たな農業関連サービス開発が進められている。
しかし、組織内で現在まで扱われてきた農業データを管理するシステムは、現時点で普及しておらず、情報の管理方法は不統一である。
それにより、それぞれの情報の管理体制の違いから管理や共有が困難となってしまうという問題が考えられる。
また、大量の情報管理は、管理者やその情報を活用する組織全体の他の業務の効率低下に繋がったり、
杜撰な管理体制となれば取得した情報の安全性を保つのに差し支えるというような問題が予想される。
本論文では、農業データの安全かつ容易に情報な管理・共有が行えるシステムの検討を行っている。システム構成では、実際の農業従事者よりシステムへの要望を伺い、容易な操作性や情報の安全性の確保等を反映した。形態素解析を用いたメタデータ抽出と付与による農業データの分類を行い情報管理の負担を軽減する。また、分類された情報のアクセスをユーザ毎に制限することで安全性を確保する。このシステムにより、組織内の農業データの管理・共有を支援し、業務の負担の軽減や安全性の向上が期待できる。
広域災害に備えて医療情報を遠隔地に保全することが求められている.
医療情報は個人情報を含むため,厳重な管理のもと保全を行う必要がある.
適した方法として秘密分散法を用いたバックアップが研究され,また秘密分散法と秘匿通信を用いた電子カルテ保管・交換システムが開発されるなど,
医療情報の秘密分散バックアップシステムの実用化が近づいている.診療に用いる医療情報はできる限り最新のものが望まれるため,
作成された医療情報を随時バックアップする必要がある.しかし,災害時は,
診療を受ける人の増加により作成される医療情報も増加し,バックアップ量の増加によるリソースの圧迫が想定される.
本論文では災害急性期のリソース不足を避け,秘密分散処理量の削減を目的として,医療情報の部分更新と最新のシェアの検索方法を提案している.部分更新は,分散バックアップする医療情報を意味のある項目ごとに分割し,前回と内容に変更のある項目のみを分散し,変更のない項目は前回のシェアを流用する.この部分更新が可能であるかを証明し,部分更新による秘密分散処理の削減率を示した.最新のシェアの検索は誰のシェアかを絞り込んだあとにデータの種類や日付が記された項目のみを部分復元し検索を行うことで,従来の全て復元したのち検索する方法よりも復元処理量が減少し,検索処理が向上することを示した.また,医療情報の更新・利用が可能なバックアップシステムを提案している.提案システムを用いることで災害急性期であってもリソースを圧迫することなく医療情報の分散バックアップが行え,リソース不足に左右されない安定した処理を行うことが可能になる.