授業科目名 |
知能ロボット工学(Robot Intelligence) |
単位 |
2 |
開講年次 |
大学院 |
区分 |
専門領域科目(知能機械) |
担当教員 |
王 碩玉 |
連絡方法 |
教員室:A480, 内線番号:2306, Email:wang.shuoyu@kochi-tech.ac.jp |
キーワード |
伝達関数,周波数応答,ベクトル軌跡,ボード線図,内部安定性,ゲイン余裕,位相余裕,最適制御,ディジタル最適制御,レギュレータ系,サーボ系 |
授業目的 |
①ロボットを含めたマシンの知能化を前提とし、各種センサ情報の知能情報処理の意義とそれに対応する種々の信号処理の基本的なアルゴリズムであるニューラルネットワーク(学習)およびファジイシステム(推論)の習得を行い、ロボットの具体的な知能化制御ならびに自律化のための基礎知識・理解の習得を目的とする。また、これらを通じて従来の産業用ロボットに多く見られる単なるプレイバック動作と比較しながら、外界のセンサ情報を知的に処理したロボットの行動或いは動作精度を反映することの重要性も具体例を通じて修得する。
②予め決められた単純な作業しかできない産業用ロボットと違って、知能ロボットは、異なる環境に応じて取るべき行動を自律的に推論し、そして実行する能力を持っている。適切な行動を推論するには、知識が要る。知識は学習によって獲得される。すなわち、賢く作業できる知能ロボットを構成するにあたって、メカニカル機構以外には、推論機能と学習機能を備えなければならない。知能ロボット工学では、学習アルゴリズムと推論アルゴリズムについて修得することを目的とする。具体的には、ニューラルネットワークによる学習法とファジイ集合による推論法、これらの手法を用いて知能ロボットの実現について学ぶ。 |
授業の進め方 |
本講義では、マシンの知能化のための各種データ処理およびアルゴリズムを基礎概念と応用事例を基に解説し、具体的事例としてロボットを題材とし、知能情報処理技術の基礎とマシンの自律性について言及する。特に、知能情報処理アルゴリズムとしては、ニューラルネットワーク、ファジィシステムとする。また、本講義は授業のスタイルで行なうが、理解度を高めるために、知能ロボットに関する写真やビデオや動画を多数使用する。前半を竹田担当、後半を王担当とし、評価はそれぞれの講義の区切りで行うものとする。 |
達成目標 |
① ニューラルネットワークによる学習の仕組みを理解し、ロボットへの導入の基礎理解が得られる。
② ニューラルネットワークによるロボットの知能化・自律化のための基礎概念が得られる。
③ ニューラルネットワークの学習によるロボットの動特性時系列変動に対する適応性の効果を理解できる。
④ ファジィ集合による曖昧概念の定量化法が理解でき、ファジィ集合・関係の基本演算ができる。
⑤ ファジィ推論の基本概念が理解でき、数式で三種類のファジィ推論アルゴリズムが表現できる。
⑥ 知識獲得と学習と推論の関係が理解でき、知能ロボットの障害物回避言語ルールが作成できる。 |
授業計画 |
1. ~2. ニューラルネットワークの基礎
ニューラルネットワークの動作原理を説明し、パターン認識、マシンコントロールに応用する際の基本的な考え方を解説する。また、ネットワーク構成方法のバラエティと各種構成法に関する長所・短所を解説し、マシンラーニングにおける収束の問題についても言及する。
3. ~4.バックプロパゲーション法に代表される学習アルゴリズムの紹介と確率的最急降下法による学習メカニズムについての基礎を解説する。また、ニューラルネットワークによるオンラインラーニングにおける手法の導入において注意するべき点についてマニュプレータタイプのロボットを対象にして言及する。
5.非線形特性が大きなウエイトを占める制御対象(人工筋肉、垂直多関節マニュプレータなど)に対しニューラルネットワークの非線形コントローラとしての優位性を述べると共に、これまでのニューラルネットワークによるロボット制御研究の歴史と現状について解説する。
6.実用事例
ロボットの視覚情報を例にとり、ニューラルネットワークによる学習システムのメカニズムと汎化能力による外界情報の変動に対するロバスト性を学習する。
7.前半試験60点(基本内容50点、 応用問題10点)
8.ファジィ理論と知的制御
ファジィネスの概念とその重要性、ファジィ理論の歴史、ファジィ理論を利用した知的制御システム実例や知能ロボットの紹介
9.ファジィ集合と曖昧概念の定量化
集合、クリスプ集合と定義関数、ファジィ集合とメンバーシップ関数、ファジィ集合による概念の厳密定量化、ファジィ集合の基本演算(和集合、共通集合、補集合)、ファジィ集合の性質(可換律、結合律、分配律、二重否定率、ド・モルガン律)
10.ファジィ関係
ファジィ関係の概念、2項ファジィ関係(連続表現、離散表現)、ファジィ関係の演算(結び、交わり補)、ファジィ関係の合成
11.ファジィ数とその演算
ファジィ数の定義、拡張原理、分解定理、言語による知能の表現、言語知識ベースを用いた知的制御の実例
12.ファジィ推論
Mamdaniの推論法、関数型推論法、シングルトン型推論法、Product-Sum推論法
13.ファジィ推論を用いた知能ロボットの制御
モデルベース・ファジィ制御系の構成と知能ロボットへの応用、言語知識ベースを用いた学習システムの構成と知能ロボットへの応用
14.ファジィ推論に基づく知能ロボットの行動計画
知識獲得と学習と推論の関係、ファジィ推論に基づく知能ロボットの軌道・経路計画、学習機能を持つ推論法に基づく障害物回避。
15.後半試験60点(基本内容50点、 応用問題10点)
|
テキスト |
前半では適宜必要資料を配布する。
後半では自編教材を使用する。
目標点探索.exe
GAによる最大値のサーチ.exe
InvDyna.exe
|
参考書 |
『図解雑学ロボット』,新井建生(ナツメ社)ISBN4-8163-3916-7\1350 ビデオ教材を使用する.
『アドバストファジィ制御』,田中一男(共立出版株式会社)ISBN4-320-08530-2 ¥3570
『ファジィ制御』菅野道夫(日刊新聞社)ISBN4-526-02348-5 |
成績評価 |
成績は前半、後半の成績を総合して下記のとおり評価する。
A A:100点以上
A:80点以上99点以下
B:70点以上79点以下
C:60点以上69点以下 |
履修の前提
となる科目 |
なし |
事前に履修を
しておくのが
望ましい科目 |
機械数学、メカトロニクス、人工知能入門、制御工学Ⅰ、ロボット工学概論 |
同時に履修を
することを推奨
する科目 |
なし |