HCIグループ
■グループ名の由来と概要
HCIとはHuman Computer Interactionの略で,人間とコンピュータの相互作用という意味する言葉です.
PCのユーザインターフェースはGUIが主流となり,初心者ユーザにとっての操作性が向上しています. また、IT化の進展によりメールやWebページ閲覧などユーザにとって魅力的な利用用途が発展し,PCの低価格化にともなって初心者ユーザ層が急速に拡大しています.
しかし,PC初心者ユーザや高齢者など低情報リテラシ層(情報弱者)にとっての情報に対する適応力の格差は,マウスなどポインティング操作となるヒューマンインターフェース(HI)の部分に多く現れます.
HCIグループでは,もともとのGUIレイアウトは変更せずに,これらユーザの操作補助機能と従来型の操作性を併存させつつ,HI部分の機能を追加する新しい方式のHIDシステムを研究開発しています.
■PDAデバイスによる視認支援単眼鏡模擬に関する研究
HCIグループで現在行っている研究に虫眼鏡をメタファ(暗喩)とした,視認支援システムの開発を行っています.
研究背景として,PCの高性能化と高精細なコンピュータディスプレイの普及により,GUI(Graphical User Interface) の表現は細分化し文字や画像を小さく表示することが可能となりました.この小さな文字や画像は,視力の弱い人だけでなく一般のユーザにとっても視認性の点で問題となる場合があります.
この問題を解決するため,この研究では,簡便な視認支援ヒューマンインタフェースシステムを構築することを目的としています.日常生活で親和性のある道具の一つに虫眼鏡があります.視力の弱い人は,新聞や書類などの小さな文字を読む際に虫眼鏡を使用する場合があります.そこで本研究では虫眼鏡をメタファとした視認支援方式を提案しました.
提案視認支援方式は,PC の操作画面の注視域を別画面上に拡大表示するシステムで す.このため,操作画面のレイアウトを変更することなく常に画面全体を把握しながら任意の場所を拡大させることができます.拡大倍率は,操作デバイスと PC のディスプレイとの距離を変化させることで調節させます.距離を遠ざけると拡大倍率を上げさせ,近づけると下げさせます.また,このシステムの付加価値と して,操作において特別な作業を必要とせず,既存の道具と同じ感覚で使用できるため,ユーザの学習負荷を軽減させる効果があります.
このシステムは,PCを拡大画像の送信を行うサーバとし,PDAを受信した拡大画像を表示するヴューアとして機能します.PDAの背面に赤外線センサを設 置し,センシングによってPCのディスプレイとの距離を測定します.そして,虫眼鏡の拡大倍率の決定式を応用したアルゴリズムで拡大倍率を決定します.