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■研究背景
広帯域ネットワーク環境下での,Audio Visual (AV) コンテンツ配信技術の研究を行っています.
昨今,AVコンテンツが様々な配送方式によって提供されるようになっており、インターネットにおいてはストリーミング形式で数多くのAVコンテンツが提供されています.また,ディジタル放送においては複数の番組および複数の種類のデータを同時に配送して多様なコンテンツ形態を実現させようとしています.
多様化するAVコンテンツ配信を,より優れた方式で提案する研究を行っています.
■概論
インターネットの広帯域化が進んだ近年,ブロードバンドを利用した様々なサービスやアプリケーションが増加してきました.ブロードバンドサービスの中でも,映画やスポーツ中継,ライブ中継等を行う動画配信サービスが急速に増加してきております.
動画配信は,ディジタルデータをネットワーク経由でダウンロードしながら順次再生するストリーミング技術がよく利用されています.
ストリーミングの利点を挙げると,
・ 再生すぐに開始 ・・・ (データを受信しながら再生を行うため)
・ 膨大なデータを保存するスペースが不要 ・・・ (ローカルディスクにファイルを残さないため)
しかし,ストリーミングはコンテンツ配信経路に過重の負荷がかかり輻輳が発生してしまった場合等に,クライアント側で映像にブロックノイズが発生したり,映像や音声に遅延やフリーズが発生する場合があります.
この問題を解決するため,MAVグループでは様々な方式の研究・検討を行っています.このうちの1つを以下で紹介したいと思います.
■MAVグループでの取り組み 「経路切り替えによる分散AVファイルの転送制御方式」
MAVグループの研究の一例として,経路切り替えによる分散AVファイルの転送制御方式について簡単に解説します.
提案するネットワークでは,ストリーミングを利用するユーザに近いネットワーク上に配信品質の維持を保つための制御サーバを設置します.制御サーバは通信に利用する経路の利用可能帯域をリアルタイムに把握し,その帯域が低下した際には適応的に他のストリーミングメディアサーバに切り替えます.これによってストリームの通信品質を制御,輻輳発生などで発生ブロックノイズや映像・音声が途切れることを防ぎ,通信品質を向上させることが可能になります.
■その他の方式
上記以外にも研究している方式の提案があります.
ネットワークの広帯域化により,今まで実現することが難しかった複数の番組および複数のデータを同時に配信するようなコンテンツ配信や,一度に多数のクライアントに向けて同じデータを配信するマルチキャスト配信等、様々な形態のコンテンツ配信が可能となってきています.このように,多様化するコンテンツ配信を,より効率的に配信する方式の提案も行ってきます.