2003年度 学士論文

氏原 亮太

多入力信号補正によるステレオ型音場再生システム

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スピーカを用いた音場再生システムのトランスオーラルシステムは,受音される時に不要な空間の伝達特性の影響を受けるために,それを除去するようなフィルタ設置が必要である.よって1 つのスピーカは1 つの補正フィルタに対する処理しか行うことができないため伝達経路の数だけ補正フィルタが必要となってくる.秋山らは,受聴者の移動に伴う伝達特性の変動が生じない場合に,1 つの補正フィルタで2 本の伝達経路を制御する多入力信号補正法を考案した.これによりスピーカの数を任意に増やすことができるようになった.本研究では,多入力信号補正によるステレオ型音場再生システムの提案する.またステレオ型音場再生システムに予測フィルタと補正フィルタを導入しクロストーク問題を検証する.さらに,計算機シミュレーションによりシステムの有効性を示す.

川上 裕司

他入力信号補正システムにおける最適パラメータの検討

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ある空間で録音された音を異なる空間で再生する場合には,受聴地点での音の再現正が要求される.スピーカを用いた音場再生では,所望信号に伝達系の特性が付加された音が観測される.したがって,伝達特性の影響を除去するためのフィルタが必要となる.一般的に,1つのスピーカから発せられた音は,左右耳に2つの異なった伝達経路をとる.このとき,それぞれの伝達特性の影響を除去するためには通常2つの補正フィルタを必要とする.しかし,1つのスピーカでは1つの補正フィルタに対する処理しか行うことができない.したがって,複数経路に対する処理を単一制御系で行う必要が生じる.秋山らが提案した多入力信号補正法によって,1つのフィルタにより2つの伝達経路を補正することが可能となった.そして,それを応用した多入力信号補正によるステレオ型音場再生システムが,浜崎らによって提案された.しかしながら,このシステムの性能を決定する2つのパラメータ,ステップゲインと修正率に対する最適な値の検討は行われていない.本研究では,このシステムの性能を決定する2つのパラメータ,ステップゲインと修正に対して検討を行う.

佐伯 幸郎

高速通信に適した適応等化器

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昨今, 有線・無線等の形態を問わず情報通信に対する伝送速度向上が大きく求められている. 特に無線通信においては通信に利用される周波数帯は高くなる傾向にあり, その特性上経路による干渉や減衰等による信号の劣化が起こりやすくなり, 伝達系の特性が所望信号に重畳し, 本来送信しようとしていたデータとは異なったデータが観測されてしまう. 特に高ビットレートで通信を行おうとすると符号間干渉により誤り率が増加し伝送速度を上げることが困難になる. 本稿では誤り率を下げることによる通信速度向上を目的とした適応フィルタを高速通信に適した形で構成する.

高野 容輔

特性の異なるスピーカの音質を再現する信号補正法

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理想的な音質で音楽を再生しようとする場合, それに適したスピーカを使用する必要がある. しかし, 一般に普及しているスピーカでは, 理想的な音質での再生に適さない場合がある. また, スピーカは, 一つ一つ異なる伝達特性を持っており, 同じものは存在しない.そこで, 任意のスピーカで, 理想的な音質での再生に適したスピーカを再現することにより, 一般に普及しているスピーカで理想的な音質での楽音再生を目指す.本研究では, 観測信号を所望信号に近付けるようにディジタルフィルタのパラメータを自動的に更新する学習機能を持った適応フィルタを構成することにより, 任意のスピーカで所望のスピーカの伝達特性を再現する方法を提案する. また, 計算機シミュレーションを行い,その有効性を検証する.

藤井 祐一

DSPによる多入力信号補正システムの構築法

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ディジタル信号処理技術の著しい進歩に伴い,バーチャルリアリティの世界を表現する試みが各方面で行われている.音響の分野では,可能な限り所望の音場に近い音場を再現することを目的として様々な研究が進んできた.一方,半導体プロセス技術の進歩により,DSPの性能向上と低価格化の実現が可能となっている.DSP は,ディジタル信号処理専用プロセッサとして登場し,複雑なディジタル信号処理を実現することが可能である.高い演算能力を持つことからリアルタイム処理が必要とされるシステムで多く利用されている.こうした流れから,音響の分野では,DSP を利用した音場再生システムの研究・開発が注目されている.本研究では,スピーカを用いた音場再生を目的とし,DSP を利用した音場再生システムの構築を行う.その方法として,秋山らが提案した多入力信号補正システムを利用する.多入力信号補正システムは,1 つのフィルタにより2 つの伝達経路を補正する信号補正法である.

真鍋 誠

グレイレベルの変化に基いた劣化画像の復元

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古い写真や, 使い回されて痛んだ映画のフィルム, このようなものは, 風化や事故などによる破損等でひどく劣化している場合がほとんどである. また, その劣化は広範囲に及ぶ場合があり大半の情報が失われている可能性がある. 劣化画像の復元については, これまでにさまざまな研究が行なわれてきた. しかしながら, 劣化部分が広がると復元することは非常に難しいとされている. なぜなら, 画像処理の手法は着目画素の周囲の情報から処理を行なう場合が多いためである. したがって, 広い範囲での画像復元を行なう技術が必要とされる.本研究では, 劣化部分の周囲に残された情報から視覚システムとグレイレベルを応用し,劣化部分の補完方法を検討した. そしてその補完方法に対し劣化部分での中心線を定義することで補完方法の向上を目指す手法を提案した.

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